右とか左とかよくわからない、というわたしにぴったりでした。
「そろそろ左派は<経済>を語ろう」、
読み始めたこの一冊。
予想以上に、がっつり経済政策について書かれた本でした。
この本をおすすめしたいのは、こんな人たち。
「安倍政権には疑問も多いけど、反対活動をしている人の意見にも賛成できない…」
「そもそも右とか左ってなに?」
わたし自身がこんなことを考えていたので、
この本がぴったり合いました。
現政権の経済政策や、
他の国との比較ができて、とても良い機会になりました。
もっと経済を語りましょうよ。
この本は、なぜ日本では、
経済政策を前面に掲げて、反政権を訴える人が少ないんだろう?
という疑問からスタートします。
原発や憲法の扱いももちろん大切だけれども、
経済政策をどう取るかによって、
生きていけなくなる人、死んでしまう人だっている。
だから欧州では、左派が政府を批判するときに、
真っ先に経済政策への批判、特に緊縮政策への批判が多いそうです。
でも、日本では、経済政策によって人が死ぬ、という感覚は人々にあまりなさそうです。
実際には、失業者が増えることによって自殺率は高まるし、
適切な医療を受けられずに死んでしまう人もいるし、
明らかに関係があるはずなのに。
そのような疑問から、
・そもそも左派とは?
・なぜ「景気がよくなった」と言われても、庶民の生活が苦しいのか?
・このまま社会保障を増やしたら、国の借金は大丈夫?
などなど、気になるトピックがていねいに説明・展開されていきます。
例えば、「経済成長」というワードについて。
「ものをつくる力(供給能力)」をアップするイメージがあるが、
日本にはそれは十分にある。
それよりも、「ものを買う力(需要)」が圧倒的に不足しているんだから、
そちらをプラスにしていく必要がある。
そのためにはこのような経済政策を取っていくべきではないか。
という話がとてもわかりやすかったです。
そもそも安倍政権の経済政策って?
つづいて、安倍政権の経済政策についても、
ていねいに説明されています。
安倍政権の「アベノミクス」では、
金融緩和がつづけられ、
財政出動も適切に行うとされているのに、
本当に必要なところに公共のお金が回っている感覚はあまりありません。
なぜ、庶民ではなく、オリンピックや公共事業にお金が回っていくのか。
中途半端にお金を使ったと思ったら、社会保障費は削ったり、
消費増税をしたと思ったら、法人税は減税したり。
なぜ、アクセルとブレーキを一気に踏むような、
矛盾だらけの政策をとり続けるのか?
そんな疑問に対して、この本では、
安倍政権には一貫した経済の戦略はなく、
あくまで支持をキープするための、
その場しのぎの行動でしかないのでは、ときっぱり語られています。
たとえば、選挙前に、急に積極的にお金を使って、
終わると急いで引き締める…という行動が、
きれいに現れたグラフも紹介されています。要チェックです。
と言いつつも、その一方で、
「アベノミクスの金融緩和だけで、
一定の成果が得られているのも事実」とも紹介されています。
まだまだ中途半端だし、苦しんでいる人はたくさんいるし、
もっとできることはあるけど、
それでも金融緩和の影響で、雇用が改善しているのは事実、と。
こういう、とにかく安倍さんを批判するのではなく、
冷静に分析しながら、
「現在の経済政策については、
この部分は評価できるので継続して、
この部分は中途半端なのでこのように改めるべきでは?」
と、まっとうな批判がなされていて、すんなり納得することができました。
実際に、イギリスの最大野党の党首であるジェレミー・コービンは、
「子育てなど福祉にはこれだけのお金をこれだけ使うべき、
そのぶんのお金はこの部分から持ってくる」
など、現在の政権の批判というよりは、
「もっとこういう経済政策をしようよ」という、
具体的なマニフェストを提示しているそうですよ。
まとめ。経済ってこんな身近だったのね。
この一冊を読んで感じたのは、
ああ、「経済」って、自分たちの生活に身近なものだったのね、ということ。
まるで難しいものに聞こえるけれども、
何よりも自分たちの毎日の生活に直結しているじゃないか!と。
日々のニュースと自分の暮らしを結びつけてくれる、
とってもいい一冊でした。
良い勉強になりました。
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