「もっと手を抜けばいいのに」


友人が、子育てに疲れ果てていると、
つい思ってしまうことがあります。

「こだわりすぎなんじゃないの?」
「もっと手抜きすればいいのに」

わたしも1歳半の息子を育てている最中ですが、
子育ては、ものすごく楽しい一方で、ものすごく疲れます。
気持ちも体力も消耗するので、日々手抜きを心がけています。

離乳食はベビーフードを活用し、
テレビも適度に見せて、
鼻吸い器は高性能なものを買い、
寝かしつけもがんばらずにのんびりと。

そのため、あまりにこだわりすぎているママを見かけると、
「もうちょっと手抜きすれば少し楽になるのに」
と思ってしまうわけです。

が、しかし。
どうしても手抜きができないことって、あるんですよね。

相手が一人の人間なので、
「自分が頑張るだけじゃ、どうやっても手が抜けない」ことあります。

そしてもうひとつ、
「手を抜けばいいのはわかっているけど、どうしても手を抜けない」こともあります。

だから、がんばるママを見ると、
「手抜きすればいいのに、でもできないんだよね、手抜きできない自分でイラッとすることもあるよね、わかる、わかるよ」と思うんです。



「自分がどう頑張っても手を抜けないこと」


まずは、「自分がどう頑張っても手抜きできないこと」の例を挙げたいと思います。

たとえば、現在1歳半の息子は、歯みがきが大きらい。
自分で歯ブラシを持ってなめたり、
歯に当てたりするのは好きですが、
わたし仕上げみがきをしようとすると、
大号泣して大暴れします。

1歳半でも力はすごいので、
息子は頭を左右に振って、
口を固く閉じて、
両手で歯ブラシを奪おうとします。

わたしは、そんな息子を前に、
片手で歯ブラシを持って、
息子の両手を封じ、
頭を固定し、口を開けて、
仕上げみがきをしないといけません。

ちなみに似たような耳鼻科の鼻吸いや、
歯科検診なんかだと、
お医者さん・看護師さん・親の3人がかりで対応します。
それを、毎日、ひとりでやらないといけないわけです。

これ、どうがんばっても手抜きできません。

よく「歯みがきが好きになるコツ」など、
裏ワザ的なものがネットに載っていますが、
こういうのは全然効かなかったり、
1週間に1度だけ効いたり、
半年経ってやっと効いたり、
ようするに当てにはならないんです。
相手は、自分の意思を持った1人の人間ですから。

いや、もしかしたら、
「そんな嫌がるなら歯みがきなんてしなくてもいい」
「虫歯なんてできてもいいじゃないか、親の気にしすぎだ」
という人がいるかもしれません。

そこはどうしても否定したいですが、
そういう主張のために、
もうひとつ手抜きが出来ない例を挙げておきます。

息子がオムツにうんち
オムツを替えようとする
大暴れ、走ろうとする
なんとかオムツを外しかけるも、途中で振り切って脱走
外れかけのオムツで全力疾走
うんちを落としながら全力疾走
うんち拾っている間も息子は走りつづけて、さらにうんちこぼれる


この場合はどうでしょう。
おむつからは、ぷんぷんとうんちの匂いが部屋中に漂っています。
そしてオムツ替えの途中て突然走り出し、うんちが脱ぎ掛けのオムツからぼとぼと…

うちの息子の場合、
赤ちゃんのときは無抵抗だったおむつ替えを、
1歳半が近づいてから、突然いやがるようになりました。
「おむつ替えを好きになるやりかた」など、
見学に行った幼児教室で聞いて実践しましたが、
それが有効なのは、ご機嫌なときだけです。

多少のおしっこなら「そんなにいやなら放っておこう」と出来ますが、
おむつに充満したうんち、
部屋に充満したうんちの匂い、
次におしっこしたらおむつパンパンで漏れるかも、
という状態で、放っておけるでしょうか。

やっぱりこれも、
どうがんばっても楽できないんですよ。
テレビをつけて夢中になっている間にささっと替えるなど、
少しの工夫はできますが、
やはり相手は人間なので、
「プラレールで遊びたいのに!!」となれば許されません。

他にも、
・バナナ3本目を要求して号泣、大暴れ
・わたしの顔と首の上に寝そべらないと寝付けない、下ろすと大暴れ
・車が往来する道路に寝転びたい、止められると大暴れ
など、
どんなにがんばっても、
気持ちと体力をすり減らす案件は山ほどあります。

どれも、1週間に1回くらいなら、
大変だけどかわいい、アトラクション感のある出来事です。
でも、こういうことが1日の間にたくさん起こり、
それが毎日ずっと続いていくわけです。
1日10回なら1ヶ月で300回、
しかも、いつ起こるかわからず、つねに気持ちの備えが必要です。

正直、こういうことだけでも疲れ果ててしまいます。


「手を抜けばいいのはわかっているけど、どうしてもできない」


それと同時に、「手を抜けばいいのはわかっているけど、どうしてもできない」こともあります。

わたしの場合であれば、こんなこと。

・絵本を持ってきたら読んであげたい
・話しかけられたら無視しない
・「自分でしたい」を見守りたい

息子は絵本が大好きで、
次から次へと、わたしの手元に本を持ってきます。
今日の朝は、電車の絵本を持ってきて、
一回読み終わると、
嬉しそうに、人差し指を立てて「かい!」(もう一回!)。
結局そのあと、10回はリピートしました。

これ、手抜きをしたければ、
初めから「3回まで」とかいえばいいんでしょうが、
わたしはどうしても、読んであげたいんですよね。

なんでそこにこだわるんだ!
それで疲れたとか言うんだろ!
と怒られそうですが、
自分でも、わかっているんですよ。
でも、それでも読みたい。

たぶん、自分も本が好きなこと、
息子の「かい!」がたまらなくかわいいこと、
まだ自分でうまくめくれないこと、
だからわたしが読んであげないと息子は読む機会を失うこと、
理由はたくさんありますが、
「どうしても手抜きできない」んです。

他の時間も、息子は、言葉にならないおしゃべりで、
わたしに電車を差し出してきたり、
手遊びを披露してみたり、
絶えずコミュニケーションを取ろうとします。

これも、無視したくないんですよね。
「そりゃ子供からの問いかけに応答するのは当たり前でしょ」と思う人もいるかもしれませんが、
子供は常に全力投球なので、何時間もずーっとおしゃべりしてくるわけです。
しかも、それは「ばばばば!」とか「かぁー、こここ!」とか、
意図がわからないものが大半。
それを、ひとつずつ考えて、こうなのかなー?と思って返事をします。
その作業は、ひとつひとつはとっても楽しくて、あとからどっと疲れがやってきます。
それでも、わたしにとって、
これも「どうしても手抜きできない」ことのひとつです。

こういうどうしても手抜きできないことは、
自分がやりたくてやっていることもあり、
その瞬間瞬間は、とっても楽しかったりするんです。

ただ、それが何十時間も続いていると、
ある瞬間、ぷつんと「もう無理…つかれた…」となってしまうことがほとんど。

おそらく、
離乳食は全部手作り!というママや、
テレビは見せない!というママも、
そういう「どうしても手抜きできない」気持ちがあるんだと思います。

わたしは、
離乳食なんてレトルトでいいのに、
テレビ見せちゃえばいいのに、
と思いますが、
その「どうしても手抜きできない」気持ちそのものはわかります。

なので、そういう気持ちがあること自体は、
責めないでほしいな、知っていてほしいなと思います。



まとめ。


ここまで書いてきたように、
子育ての大変さは複雑で、
「手抜き」ひとつとっても、
いろんなパターンがあって説明が難しいです。

自分のことなら、
タイミングを見計らったり、
楽な方法で取り組んだり、
いろんな工夫のしようがありますが、
相手がいる子育ては、そんな工夫にも限界があります。

そして、「どうしてもこだわってしまう」という自分の気持ちを扱うのもまた、難しい。

わたしは、
手抜きをためらうときに、
「わたしがこれをやることで、
 疲れたりイライラしても、
 息子のためになるのかな」
と一度考えることにしています。

そう思うと、
やらなければいけないことは少し減ります。

でも、うんちのおむつ替えや歯みがきは外せません。
そして、やっぱり絵本は読んであげたいんです。

仕事でも勉強でも、
自分なりのこだわりを持ってがんばって、
その上で「つかれた…」という人は多いと思います。

だから、こだわりを持って奮闘するママを見たら、いつも思います。

手抜きすればいいのに、
手抜きしてもいいんだよ、
でもどうしてもできないのかな、
手抜きできない自分でイラッとすることもあるよね、
それもわかる、
わかるよ、
こだわってもいいんだよ、
そのせいでつかれてもいいんだよ、
つかれたって言ってもいいんだよ、と。