今年もあっという間に夏休み。
毎年8月15日に向けて、太平洋戦争関連のドキュメンタリーや書籍が目立つようになります。

わたしも子供が生まれ、
「どうしたら子供に、70年以上前の戦争のことを学んでもらえるだろう」
「大昔のことではなく、自分に関係することとして興味を持ってもらえるだろう」
と考えるようになりました。

そこで、これまで読んだ本をもう一度読み直し、
中学生に是非おすすめしたい、
戦争関連の書籍ベスト5を選びました。

客観的な一冊から、読みやすい小説まで、幅広く選んでいます。
日本が戦争を始めるまでの本、沖縄戦に関係する本、満州からの引き揚げに関する本…。
どれも全然違う内容なので、全部読んでほしいくらいです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。



1. 加藤陽子「それでも日本人は戦争を選んだ」


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これは、大人にもおすすめしたい一冊。
東大の教授である加藤陽子先生が、子供に向けて講義したときのお話がまとめられています。
講義をそのまま本にしてあるので、とても読みやすくて、わかりやすいです。

この本の魅力は、とても詳しく、何故日本が戦争を始めてしまったのかを分析してくれること。
一言で「こういう理由でした!」と言うのではなく、
あらゆる原因や動きが絡み合っていて、
簡単に言い切れないことを教えてくれます。

けして、
「昔の人は間違っていました!」
「人の命を粗末にして、戦争をしてしまいました!」
と責めて結論づけるのではなく、
「当時、優秀な人たちがたくさんいたのに、なぜ戦争を始めることを選んでしまったのか」
「私たちも同じ過ちを繰り返す可能性があるのではないか」
という問いが、冷静に、ていねいに、語られています。

わたしたちと同じ、
平和な毎日を送りたいはずの人々や、
家族をとっても大切に思う人々が、
なぜ戦争を選んでしまったのか?
そんな疑問を持っている中学生に、ぜひおすすめです。



2. 猪瀬直樹「昭和十六年の敗戦」

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猪瀬さんといえば、都知事辞任の残念なイメージがついてしまいましたが…。
もともとは作家さんで、興味深い本をたくさん出しています。
詳しい取材をもとに、これまで明らかになっていなかった事実を追求するような作家さんです。

この一冊は、「実は、戦争を始める前に、この戦争に負けることはわかっていましたよ」というおはなし。
どういうことかというと、
「もし戦争を始めたら勝てるか」という問いに対して、
各分野のエリートを連れてきて、
模擬内閣をつくって、研究させたという話なんです。
もちろん実話です。
 
この模擬内閣は、詳細なデータにもとづいて何度も議論を重ねた上で、結論を出しています。
そして、戦争が始まる前の昭和16年夏、
当時の本物の内閣に対して、
「日本が戦争をしたら負けます」という報告をしています。

実際には、それでも昭和16年12月に、戦争を始めてしまうのですが…。
その「敗戦するという結論を出す」までの過程をていねいに、小説のようにわかりやすく読めるのが、この一冊です。

結論がわかっているだけに、
読んでいてもどかしいのですが、
初めて読んだときはとても衝撃的でした。
これから戦争を学ぶきっかけの一冊として、おすすめです。


3. 藤原てい「流れる星は生きている」


こちらは満州からの引き揚げの実話です。
作者の藤原ていさんが、
開拓団として満州に渡り、
それからソ連の参戦を迎え、満州を追われ、
どんな苦労を重ねて日本に逃げ帰ってきたか、小説として語られています。

満州の引き揚げについては、
信じられないほどの悲惨さと、
数多くの犠牲者がいるにもかかわらず、
あまり日本国内では語られていないように思います。
戦争が終わっても苦しみ続けた人々がいたこと、
戦争が終わっても殺されてしまう人々がいたこと。
その現実と、理不尽さと、そういう人々が日本に帰ってきて必死に生きたことが、苦しいほどによく伝わる一冊です。

まだよく知らない人にも、興味を持っている人にも、読んでほしい作品です。



4. 灰谷健次郎「太陽の子」



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これはもう、世界中の人に読んでほしい。
灰谷健次郎さんのベストセラー「太陽の子」です。

フィクションの小説で、
戦争中ではなく、戦争後に生まれた女の子が主人公です。

主人公は、お父さんととても仲良し。
でも、元気で明るかったお父さんが、ある日突然、おかしな振る舞いをするようになります。
働けなくなり、精神病院に通い、療養生活を始めます。
その原因には、お父さんが小さい頃に体験した、苦しい苦しい沖縄戦の体験があった…という物語です。

この「太陽の子」では、戦争当時のことだけではなく、戦後のことが詳しく描かれています。
沖縄で、想像を絶する体験をした人々が、その後も差別に遭い、苦しみ、それでも明るく懸命に生きようとしている姿に、心動かされます。

単に「これだけ悲惨でした」と振り返るのでなく、
当時の一人ひとりがどのような思いで戦争を経験し、どう生きてきたのかに心を寄せることのできる、名作です。


5.  壷井栄「二十四の瞳」



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これもベストセラーですね。二十四の瞳。
とある田舎の村で、貧しいながらも精一杯生きる子どもたちと、新任の女教師の物語です。

物語の大部分は、戦争がやってくる前のおはなしなので、
「戦争について学ぶ本」というよりは、
「当時どんなふうに人々が暮らしていたのかを学ぶ本」という感じ。
もっといえば、「ごく普通の自分たちみたいな人々が、ごく普通の暮らしをしながら、戦争が始まったんだ」ということがわかる本です。

戦争が始まる前から、
子どもたちは家の経済状況に左右され、
学校に通えなかったり、夜逃げしたりと、
いろんなものに振り回されながらも、必死に、無邪気に生きています。
その姿に、胸を締めつけられる中で、徐々に戦争の足おとが近づいてきます。

小説を読むのが好きな子供にも、
戦争当時のことに興味を持っている子供にも、
難しい本は苦手という子供にも、おすすめしたい一冊です。



以上、中学生におすすめの戦争関連本ベスト5でした!


最近よく、戦争について、
「この国が悪い」「この国は悪くない」という断定的なコメントをよく見かけます。

でも、戦争が起こった原因や、その過程は、そんな単純なものではないはず。
いくら学んでも学んでも、
「自分が同じ時代にいたら、やはり戦争反対とは言えなかったのだろうか」
「また同じような過ちを繰り返すことが無いといえるんだろうか」
というような疑問は深まるばかり。
でもそうやって、もやもやすることが大切なんだと思っています。

ぜひこの夏、本を手にとって、
戦争についてもやもやと考えてもらえるきっかけになれば嬉しいです。